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読書の備忘録

ウフィツィ美術館展を観に行く

小雨ちらつく寒さの日々つのる晩秋に、フィレンツェの黄金時代に思いを馳せつつ、ウフィツィ美術館展を鑑賞しました。

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チラシのサンドロ・ボッティチェリの「パラスとケンタウロス」の絵のせいで、異教的なモチーフ(ギリシア・ローマ神話)の作品が多いのかと思い込んでいたのだが、むしろ宗教画が中心のよう。「マニエラ・モデルナ」というのは、16世紀の新様式をさしてヴァザーリが案出したことばなので、ルネサンス後期、サヴォナローラ神権政治以降が展示品の中心と思えば得心がいく。

ボッティチェリの絵(彼に帰せられているもの含め)も宗教画、とりわけ聖母子が多かった。なぜ聖母子がという点については、作品を見て廻っている間は特に考えもしなかったのだけれど、フィレンツェ守護聖人が洗礼者聖ヨハネだから彼にまつわるエピソードということで、聖母子画が多いのではと推測。洗礼者ヨハネは、聖母子画のなかでは幼子イエスよりも少しだけ年上の幼児として描かれることが多いみたいで、代表的なアトリビュートとして細長い十字架があげられる。

Wikiによれば、彼を描いた伝統的主題の一つに「聖母子と少年ヨハネ」があるとのこと。

聖母子と少年ヨハネルネサンス以降、西方教会で描かれるようになった主題。「神の子羊」と組み合わされることも多い。

時代的にも今回の展覧会と合致しているわけですね。ちなみに洗礼者ヨハネバプテスマのヨハネとも言われ、サロメによって首を斬られたあの人物とも同一。

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(※サロメが首を所望しておきながら、視線を逸らしているのがなんか気になる)

そしていつも思うが、こういうものは歴史的背景を知っていれば、さらに楽しめるのだろうな……。そもそもウフィツィ美術館自体が、「初代トスカーナ大公コジモ1世の治世下、ジョルジョ・ヴァザーリの設計で1560年に着工し、1580年に竣工したフィレンツェの行政機関の事務所がもとになっている」(Wikipediaウフィツィ美術館」)わけであるし、メディチ家の歴史はフィレンツェの歴史と一体なので、ロレンツォ豪華公(イル・マニーフィコ)の頃からトスカーナ大公国誕生くらいまでのフィレンツェ史を押さえてから見に行ったほうがよかったな、と後で思いましたね。漫画『チェーザレ』を読んでいたので、少しは予備知識があったけど(笑)。

あと、ふと思ったのは、天使の翼ってなんとはなし真っ白なものを連想しがちだけれど、実はかなりカラフルなんだということ。これは虹色とでも言ったらよいのだろうか。このあたりももう少し調べてみたい。衣服の赤色も非常に鮮やかでした。どういった顔料を使っているのかも気になるところ。

そして、やはり図像学的(イコノグラフィー的)な知識の必要性をひしひしと感じる。別に研究やってるわけじゃないけれど、一般教養として知っておきたいというか。きっと誰がどの聖人ということがわかれば、さらに面白いのだろうしね。聖書の知識が必須なので、まあそろそろちゃんと読みましょうよって結局そうなるわけですが。

購入したこちらのポストカードの絵のなかの右側、鍵を持っている人物は聖ペテロですね。

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ボッティチェリなんかの作品を、東京で見られるのは本当に幸運と思うけれど、やっぱり現地で歴史を間近に見ながら鑑賞したいものです。フィレンツェの街を歩きまくってスタンダール症候群よろしくくらっと失神してみたい。路上で倒れる気?!*1

ところで、家系図を見ていて、はたと思い当たったのだが、漫画『チェーザレ』に出てくるジョヴァンニ閣下って要するに後のレオ10世のことですね。

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漫画から歴史人物を特定するという逆転の発想(笑)。ショップに『チェーザレ』グッズが少し置いてありニヤリとしました。

 

関連図書:

芸術家列伝2ボッティチェルリ、ラファエルロほか (白水Uブックス1123)

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フィレンツェ (講談社学術文庫)

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聖書と神話の象徴図鑑

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ルネッサンスの光と闇―芸術と精神風土 (中公文庫)

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*1:※でもWikiの「スタンダール・シンドローム」の項をみたら日本人はあんまりとか書かれていてちょっとがっかりした(笑)。